感受性について

Uさん、お嬢さんとの対話のために20数年ぶりに「アンネの日記」を読まれたとのこと。10代で読まれた時とどんな風に感じ方が違っていましたでしょうか。お嬢さんの感じ方そのままではないにしても、自分の中はどんな風に感じ方が変わっていましたか。私も自分の感じ方を知るために、繰り返し読み返す本が何冊かあります。
アンネについては、いつか隠れ家を訪れる日があるのではないかと子供心に空想しましたが、そんな事も忘却していたある時、仕事でオランダに行った時にふと時間ができて、アンネの家に行ってみました。普通の日なのに各国から来た人が入場に行列なのには驚きました。普段は行列に並んでまでどこかに入ろうとは思わないのですが、さすがにここでは並びました。
子供の頃には、現場を踏んだらきっと何か凄いエネルギーを感じるかもしれないと思っていたのだけれど、実際の空間の内部は「もぬけのから」というような、何も感じない場でした。ただ、とっても小さな空間で、こんな中に一歩もお外に出る事ができずに息を潜めていたのかと思うと切ない気持ちにはなりましたが。。。彼女が心の慰めにしていた時計塔の音も聞こえてきました。
彼女はジャーナリストになりたかったんですね。出口近くの展示室にその事が大きなメッセージとしてとりあげられていました。
言葉にできない感じ方について、もうひとつ思い出す事があります。これもやはり小学校の頃、美術の教科書に載っていたピカソの「ゲルニカ」をみて「この現物を見たら吐くかも」と思ったの。これもまた、歳をとってからスペインで実物を見ましたがアンネの部屋に行った時と同じような、何か直接身体にきちゃうような衝撃は受けませんでした。
鈍感になったと言えばそれまでですが、感動する力がなくなったかと言えばそうではないのだと思います。今の年齢のお嬢さんの繊細な感受性に、同調はせずとも寄り添ってあげられたらいいですね。