プロを上手に使う

鬱病ストレス障害が飛躍的に増えている、と言われて久しいですが、他の疾患同様にそういった事が表だって言えるような社会になってきたこと、精神科に通うということが、数十年前では考えられないほど普通になってきているという側面がありますね(実際数十年前ですら公的機関に勤務する人の○%が精神性の疾患で長期休暇を取り続けているという実態がありましたし)。それはさておき、人間誰しも社会に出て一所懸命に働いていれば、どこかで何らかの不具合が出る事は否めません。それを「メンテナンスの機会だ」と受けとる人「注意信号だ」と受け取る人、そう受け取ってもすぐに対処できる人できない人は様々です。
インフォームドコンセントセカンドオピニオンについてもやはり数十年前にくらべたら病院や医師の側の対応は相当変わって来ている事を私は感じます。
それでもやはり、いざ自分が病気となるとどのようにインフォームドコンセントセカンドオピニオンを生かすかという事がまだまだ下手な方々が多いようです。さらに、かつては医師や病院の権威に萎縮したり言いなりで、自分の快適さを押し殺してでも医師に従っていた例も多かったとこに比べ、反対に看護して下さる方々への罵詈雑言や暴力さえあるという昨今にも困ったものだと思います。
でも、ほんのささやかな事で「プロの使い方」が下手な方もまだまだ多いのではないでしょうか。よほどとんでもない医師や病院でないかぎり「プロとして患者を治す」のが先生方の使命ですから、治りたい患者には積極的な協力が得られるはずなのです。相談の仕方やタイミング、疑問や不安や症状の伝え方を患者の側も学び、工夫する必要があると私は思います。
12月からメールコーチングを始めたWさんは40代後半の管理職。思いもかけない「ストレス障害」に自分が陥っている事を知る事ができたのは、家族(妻)が彼のサインに気がついたことからでした。その妻からの紹介でメールコーチングを始めてからの彼の最初のステップは「入院すべきか、できないか」・・・できない理由がいくつも思い浮かびます「仕事に穴をあける」「この病気を会社にどう伝えるか」「部下の動揺が気になる」etc...
彼が入院を決意したのは1月の中旬。医師からは「3ヶ月の入院は必要」との診断に「そんなに長いとは。。。」とショックを受けながらもパソコンの持ち込みを許可して貰い、入院しました。彼の第2のステップは、これまでの自分の生き方を見直す時間に恵まれたのだと能動的に意識を切り替えた事。それでも「分かる」ことと「できる」事の差がなかなか埋められずカウンセリングを受けても思考がグルグル回ります。そして第3のステップは自分の子供からのサイン。ああ、自分があの年頃に感じていたことそのままを彼は今、訴えていいると。
そして自分から医師に「何をどのように伝えるか」を整理し、自分からリクエストしてカウンセリングにのぞみました。昨夜受信したメールには「明日の午前中に退院する事になりました。」との喜びのメッセージ。「先生は復帰後の私の意思についても、今ままで見たことのないような笑顔でうなずいて下さいました。メールコーチング、これからもよろしく」とのこと。伴走できてよかった。